当直勤務とは?日勤や夜勤との違い、警備員の勤務形態について

警備員の勤務形態には「日勤」「夜勤」だけでなく「当直・当務」というものがあります。シフト作成を始めたばかりの方にとってはどういう形態のものなのかわかりにくいかもしれません。

「1日8時間」という枠を外れて、当直勤務とは24時間の勤務が基本となる、警備業ならではの勤務形態です。特殊な形態であるため、日勤・夜勤とは異なる特徴を持ち、シフトを組む際も法律違反にならないよう注意が必要です。

今回は当直・当務勤務とはどういうものなのか、日勤や夜勤との違い、当直勤務の注意点、警備員のシフト作成のコツをご紹介します。

当直勤務とは?

当直勤務は当務勤務とも言われ、24時間の勤務が基本となる勤務形態です。

そもそも警備業とはクライアントからの依頼を受け、その生命や財産への侵害を防ぐために警戒や防護を行うものです。つまり、依頼内容によっては24時間ずっと守り続けなければいけないケースもあるのが警備業となります。

本来、労働基準法に沿うならば「1日8時間」と労働時間は決められています。しかし当直勤務は24時間現場にて勤務します。これは前述の通り、命や安全を守る大切な仕事であり、警戒・防護をし続ける必要があるためで、警備業の本質に合った勤務形態と言えるでしょう。

もちろんずっと起き続けているわけではありません。当直勤務では休憩・仮眠時間も含めて24時間となり、実質的な労働時間としては16時間〜18時間程度になるのが一般的です。一般的な仕事のおよそ2日分働くことになるため、翌日は当直勤務明け休みとなります。勤務日数的には月12〜13日程度となり、一般的な仕事よりも少なくなる傾向にあります。24時間しっかり勤務して翌日はプライベートなことに使いたい、という方が選択することが多いです。

警備員の勤務形態

警備員の勤務形態には「日勤」「夜勤」「当直・当務」の3種類が基本です。それぞれ簡単に説明すると、日勤は朝から夕方までの8時間労働で一般的な仕事と勤務時間はほとんど同じです。夜勤は深夜帯とされる時間帯のもので夜から翌朝にかけてとなるのが一般的。当直・当務は前述の通り、24時間勤務で休憩・仮眠の時間があります。

さらに具体的な特徴について以下でまとめましたのでご覧ください。

日勤 一般的な業種のように、日中の時間帯に勤務します。現場にもよりますが、365日休み無く警備を行うところが多く、シフトを組んで複数人で毎日勤務することがほとんどです。もちろん土日の勤務もあり、その代わりに平日休みを取ることができます。

時期やタイミングによっても異なりますが、週休2日で毎月22〜23日の勤務となるのが一般的です。

夜勤 その名の通り、夜間に勤務するのが夜勤です。勤務時間は日勤者との引継ぎを行う必要があるため18時ごろから、翌朝9時ごろまでになることが多いです。長時間勤務となるため休憩時間はもちろん仮眠時間が設けられます。休日は日勤よりも多く割り当てられ、出勤日数も日勤よりやや少なくなるのが一般的です。ただし、長時間勤務となることから、支払われる賃金は日勤より多いのが特徴となります。
当直 当直は24時間勤務です。もちろんずっと起きているわけではなく、休憩・仮眠時間が含まれます。現場によっても異なりますが、4〜6時間程度の仮眠を取れるのが一般的です。勤務時間的には勤務形態の中でも最長となり、仮眠を差し引いても一般的な仕事の2日分以上あるため、必ず当直明けは休日になります。勤務日数は月に12〜13日程度であり、平均すると週休4日。支払われる賃金は夜勤と同等か少し多いくらいです。短期的に一気に稼ぎたい方は当直勤務を選択するケースが多いです。

勤務時間・勤務日数・賃金はクライアントからの依頼内容によって変動します。あくまでも目安とお考えください。

日勤や夜勤との違い

では当直は日勤や夜勤とどのような違いがあるのでしょうか。

勤務時間が違う 当直は24時間勤務、日勤は8時間、夜勤は15時間前後、ということで勤務時間が違います。クライアントの生命や財産を守るという警備業の本質がそのまま現れている勤務形態と言えるでしょう。
勤務日数が違う 現場により異なりますが、当直は12〜13日、日勤は22〜23日、夜勤は20日程度という違いがあります。勤務時間の長さに反比例し、勤務する日数は当直が最も少なくなります。また、当直の場合は明け翌日は休日となり、週休4日になることがほとんどです。
賃金が違う 月の賃金で考えると当直が最も高くなり夜勤、日勤と続きます。これは勤務時間の長さに比例していると言えるでしょう。当直や夜勤は時間外や深夜労働ということで割増されることも賃金が高くなる理由です。

この他にも、当直や夜勤は仮眠時間が用意されていて日勤とは異なります。もちろん仮眠中も業務中とみなされ給与は発生します。何かあった場合は起床して対処しなければならないため、寝ていても業務中なのです。ちなみに複数名勤務の場合は交代で仮眠を行うのが一般的です。

当直勤務の特徴

これまでご紹介してきたように、当直・当務は日勤・夜勤と比べても特殊な勤務形態です。具体的にどのような特徴を持つのかご紹介していきます。

拘束時間が長い

当直勤務は24時間勤務であり、日勤・夜勤と比べて拘束時間が長くなります。そもそも労働基準法では「1日8時間」という規定があるのになぜ24時間勤務できるのか、疑問に思うかもしれません。

警備業では労働基準法によって定められた変形労働時間制が採用されています。変形労働時間制とは、労働時間の上限を1日で考えるのではなく、1週間や1ヶ月単位で捉えるものです。詳しくは後述しますが、この変形労働時間制により、当直勤務は一般的な仕事よりも拘束時間の長い「24時間勤務」を実現しています。

仮眠・休憩時間が短い

当直は通常の睡眠時間と比べて仮眠・休憩時間があまり長くありません。現場によっても異なりますが、4時間〜6時間くらいが一般的です。ただ、複数名のスタッフがいる場合などであれば、6時間以上仮眠を取れるケースもあります。

とはいえ警備という職種上、何かトラブルが発生した場合は仮眠中であってもすぐ起床して対処にあたらなければなりません。ぐっすり深く眠ることは難しく、そういった意味では仮眠休憩時間は十分とは言い切れないでしょう。

ただし、通常は当直明けに休みがあるため、翌日は1日ゆっくりすることが可能です。

高収入が狙える

当直勤務は日勤・夜勤と比べて高収入を狙えます。

そもそも当直は24時間勤務で拘束時間が長くなります。さらに夜間手当等もつきますので、時給は日勤よりも格段に良いのが特徴です。また、深夜帯は来客や往来する人が少なく仕事内容的には日勤よりも楽になる場合があります。休みも日勤・夜勤より多くなる傾向にあります。そう考えると、当直勤務は短期間で集中して高収入を狙いやすく、若い世代の警備員を中心に人気のある勤務形態です。

当直勤務の注意点

24時間勤務となる当直・当務は働く側にとってはいろいろとメリットがあります。では事業者側にとってはどうでしょう。当直勤務の注意点について解説します。

変形労働時間制と36協定

本来、労働時間の上限は「1日8時間」とされています。しかし当直勤務はその3倍の24時間勤務です。「労働基準法違反にならないのか?」と疑問に思う方もいるかもしれません。24時間という長時間勤務を実現できる理由として「変形労働時間制」と「36協定」という2つの要因を挙げることができます。

先にも少し触れましたが、変形労働時間制とは労働時間の上限を1日で考えるのではなく、1週間や1ヶ月単位で捉えるものです。

例えば、1週間単位で考える場合、40時間が上限となり、それ以上の労働については残業代が支払われます。1ヶ月単位であれば、31日間で177.1時間が上限となり、それ以上になると残業代が支払われるのです。警備業の場合、クライアントの都合により警備時間が変更になることも少なくありません。同じペースでシフトを組めないため、1日単位ではなく、1週間や1ヶ月単位の変形労働時間制を採用することが多いのです。その結果、24時間という勤務形態が可能となっています。ただし、実際に採用する場合は残業代など細かいルールがあり、それに反すると違法となるため、警備事業者側は注意が必要です。

また、当直勤務では「36(さぶろく)協定」にも注意しなければなりません。36協定とは労働基準法第36条にある「時間外・休日労働に関する協定届」のことです。会社は法定労働時間を超える時間外労働を労働者に命じる場合、労働組合と書面を通して協定を結ぶ必要があります。そしてその書面を労働基準監督署に届け出なくてはいけません。つまり、36協定が結ばれていない場合は、24時間勤務となる当直をシフトに組むことができないわけです。

シフト作成

警備業のシフトを組む際は前述の変形労働時間制や36協定についてしっかりと意識しなければいけません。

例えば、1ヶ月単位の変形労働時間制の場合、目安として週平均で40時間を下回れば問題ありません。さらに月45時間の残業が可能であることから、平均すると週2日の勤務が可能です。残業が発生する場合は事前に36協定を結ぶ必要があります。どのような形で協定を結んだかもしっかり確認するようにしましょう。

また、シフト作成時に引継ぎ時間を間違え、法定労働時間を超えてしまうと違法となる可能性があります。この点も注意し、スムーズな警備業務・引継ぎを行えるようにシフトを作成してください。

警備員のシフト作成のコツ

警備員の勤務形態にはご紹介したように日勤・夜勤そして当直・当務の3つあります。警備スタッフごとに希望日や希望勤務形態には違いがありますし、クライアントの要望によっても最適なシフトは異なってきます。案件数やスタッフ数が増えれば増えるほど、シフト作成は煩雑となっていくことでしょう。

警備基幹システムの利用がおすすめ

警備員のシフトを作成するのであれば、警備基幹システムの導入がおすすめです。

もちろん、Excel等でシフトを組むことは可能です。しかし手作業で行う場合、入力ミスだけでなくシフトを組み間違えて警備業務が滞ってしまうことがあります。さらに、そういったケアレスミスがきっかけで、引継ぎミスが発生して法律違反となる可能性も捨てきれません。

警備基幹システムは警備員の情報管理・案件管理・給与管理・警備員への個別連絡など、警備業に関するすべての業務を一元管理できるシステムです。もちろんシフトやスケジュール管理に関する機能と連携させることができます。

警備スタッフはスマホからクラウド上のサーバーにアクセスして希望日を入力、内勤スタッフはそれを見て割り振りを行い、自動的にシフトを作成することが可能です。システムによっては、警備スタッフに起床や出発、到着コールなどのフォローもでき、勤怠に関するトラブルを防ぐこともできるのが魅力です。

警備業の勤怠管理・シフト作成は何かと煩雑になるものです。Excel等でアナログ管理・作成するのではなく、警備基幹システムを活用して的確なシフト作成を行いましょう。

警備員の勤怠管理なら

今回は当直・当務勤務とはどういうものなのか、日勤と夜勤との違いや警備員の勤務形態、さらには内勤スタッフがシフト作成する上での注意点を解説しました。

警備業はクライアントの大切な生命や財産を守るとても重要かつ責任のある仕事です。そのため、日勤や夜勤だけでなく当直・当務のような24時間連続といった勤務形態も存在します。いつどんな時も、トラブルがあればすぐに対処できる、それが警備業の価値であるためです。

とはいえ、法律により労働時間には上限が定められています。そのためシフトを組む際には変形労働時間制や36協定を意識し、法律違反とならないよう注意しましょう。

警備員のシフト作成や勤怠管理の課題を解決し、業務効率化を図りたいとお考えならば、「GUARD EXPRESS(ガードエクスプレス)」の導入がおすすめです。

ガードエクスプレスは警備業の基幹システムであり、シフト作成・勤怠管理・クライアントからの受注・スタッフのフォロー・給与計算などあらゆることをワンストップ管理できます。もちろん法改正があればアップデートし即座に対応しますのでコンプライアンス遵守の面でもガードエクスプレスならば安心です。いつでも現行の法令に沿ってシフト作成・勤怠管理を行えます。

警備員の配置をもっとスムーズに行いたい、シフト作成を楽にしたい、法令に沿って安全に管理したいとお考えなら、ぜひGUARD EXPRESSの導入をご検討ください。