勤務実績表(勤怠管理表)とは?作成方法や保管期間などを解説

勤務実績表はスタッフに適正な給与を支払うために必要となる書類です。不慣れな担当者では、どうやって作成すればいいのか、何を記載すべきなのか、法的にどうなっているのか、などといった疑問を持っていることでしょう。

今回は、勤務実績表とはどういうものなのか、その作成方法や作成におすすめのツール、法律上の位置づけ、法で定められている保管期間について解説します。

勤務実績表(勤怠管理表)とは?

勤務実績表はスタッフの出勤状況や欠勤の内容、労働時間などを端的にまとめた書類です。勤務実績表は特定の期間において、スタッフがどのように働いているかを俯瞰して見れるという特徴があります。勤務実績表があれば、就業時間が固定性・シフト制いずれの場合であっても、時間外労働や有給休暇などがあった場合でも、俯瞰して正しく各スタッフの勤務実態を把握することが可能です。

スタッフの勤務実態が記載されているという特徴を持つことから、勤務実績表は給与計算にも使われることが多い書類です。労働基準法第37条では、「労働者の時間外労働に対して適正な給与を支払わなければならない」と定めています。勤務実績表には時間外労働についても明らかに記載されているため、適正に給与計算ができます。そのような理由から、どの企業でも給与を支払うための重要な書類として勤務実績表を活用するのが一般的です。

勤務実績表は企業によって「勤怠管理表」「勤務状況表」といった呼ばれ方をすることがあります。似たようなものに「勤務表」がありますが、こちらは勤務実績表とは全く異なるものです。勤務表はスタッフの出勤スケジュールが記載されている書類であり、出勤の実態を記録した勤務実績表とはその目的も記載内容も別物となります。

法律上必要な記録である

勤務実績表の作成は法的に決まった形はありません。しかし、勤務実績表は給与計算に使われることが多く、給与支払いの重要書類となります。

例えば、労働基準法第108条では「事業場ごとに賃金台帳を作成し、賃金計算の基礎となる事項、賃金の額、その他厚生労働省令で定める事項を賃金支払いの都度延滞なく行わなければいけない」と定められています。つまり、勤務実績表を正しく記録しなければ罰則があるわけです。

また労働基準法第24条には「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない」という記載がありますが、これは一見すると勤務実績表とは直接関わらないように思えます。しかし「労働に対しその対価を全額通貨で支払う義務」があるとされており、労働に見合った対価を支払うためにはやはり出勤実態が把握できる勤務実績表の作成は必要です。

また、後述しますが労働基準法109条では「使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を三年間保存しなければならない。」と定められています。勤務実績表は「労働関係に関する重要な書類」であるため、保管の義務が生じることも忘れてはいけません。

勤務実績表(勤怠管理表)に記載すべき重要項目

勤務実績表は給与計算に必要な書類であり、スタッフの勤務状況がすべて把握できるものでなければいけません。勤務実績表にはどのような項目を記載すべきなのかご紹介します。

勤務時間

給与は労働に応じた対価を支払うため、勤務時間は勤務実績表の中でも重要なデータとなります。勤務時間を知るためには、出勤時刻と退勤時刻を正確に知る必要があります。場合によっては出勤時間と勤務開始時間までに大きなタイムラグが生じることもあります。そのような場合は勤務開始時間・勤務終了時間を記入しましょう。

また、スタッフ本人による手書きの場合、勤務時間が改ざんされるリスクがあります。リスクを回避するためには、改ざんされない工夫やチェック体制の強化が必要です。

残業時間

スタッフが残業している場合は規定よりも割増された賃金を支払わなければいけません。そのため、残業しているスタッフがいる場合、勤務実績表には残業時間が記載される必要があります。

残業時間とは、所定の労働時間を超過して勤務していた場合に発生するものです。労働基準法においては、「1日8時間・週40時間のどちらか一方を超えて働いた」「使用者の指揮命令下に置かれていた」場合の時間です。

法定労働時間を超えて勤務している場合、事業者は労働者に対して規定の25%割増賃金を支払わなければいけません。また、残業時間が夜間10時を超える場合、規定の50%割増賃金を支払います。

休日出勤

シフトに入っていたスタッフが急遽欠勤になった場合、他のスタッフがその穴を埋めなければなりません。そのようなケースに対応するため、勤務実績表には休日出勤についても記載する必要があります。

法定休日に出勤となる場合は労働者に対して規定の35%割増賃金を支払う必要があります。ただし、法定休日以外の出勤であれば割増賃金の支払いはありません。

ちなみに、前述の残業と本項の休日出勤はいずれも時間外労働にあたります。労働基準法第36条では「労使協定をし、行政官庁に届け出た場合においては(32条35条の規定に関わらず)その協定に定めるところによって動労時間を延長しまたは休日に勤労させることができる。」という記載があります。

つまり、時間外労働をする場合は労働組合等と協定を結び、労働基準監督署への届けが義務付けられているのです。これを俗に「36(さぶろく)協定」と言います。

残業、休日出勤ともに36協定に基づいた労働時間になっているかを確認するためにも、勤務実績表は役立つものです。

雇用形態

2019年4月以降、管理者による労働時間の把握が義務付けられました。それに伴い、スタッフの雇用形態や契約内容の違いを把握することが求められています。

正社員、派遣社員、パート、アルバイト、など雇用形態はさまざまあり、勤務実績表でそれが一目で把握できるようにしてあると良いでしょう。

早退・遅刻

何らかの事情によりスタッフが早退・遅刻することもあり得ます。そのような状況ももちろん、勤務実績表に記載すべきです。

早退・遅刻により所定労働時間を満たすことができない場合は支払う賃金が控除されます。

有給取得日数

有給とは、労働者が休暇を取ったとしても使用者から賃金が支払われる休暇日のことです。疲労を回復し心身を整え、労働者にゆとりある生活を送ってもらうために存在します。

このような有給休暇ですが、給与の支払いに関係するものであるため発生する場合は勤務実績表に記載が必要です。

欠勤日数

本来出勤するはずだったスタッフが何らかの事情により出勤できない場合は欠勤という扱いになります。欠勤は有給休暇と異なり賃金の控除対象となります。対価を支払う働きがされていない状態であるため、給与計算に必要な勤務実績表に記載が必要です。

勤務実績表(勤怠管理表)の作成方法

勤務実績表を作成するツールとして主に使用されるのはExcelと勤怠管理システムの2つです。それぞれどんな特徴があるのかご紹介します。

Excelで管理する

勤務実績表はExcelで管理・作成することができます。検索すればインターネット上でダウンロードできるテンプレートを見つけることができますので、Excelを使う場合は探してみましょう。

Excelでの勤務実績表を作成するメリットは手軽さにあります。タイムカード等、スタッフの勤怠記録をそのままExcelに入力すればできるためです。パソコンを使えてタイピングができ、多少のExcel知識があるのであれば、誰でもすぐに勤務実績を作成可能です。

ただし、Excelでの勤務実績作成には多くのデメリットもあります。Excelに勤怠データを手作業で入力しなければならないため、作成作業には時間と手間がかかります。スタッフ数が増えれば増えるほど時間と手間がかかり、内勤スタッフの人件費も増加するため注意が必要です。さらに、警備業界は日によって警備人数が変動したり、勤務場所・勤務時間の変更があったりします。集計作業は他の業種よりもさらに手間がかかることでしょう。

また、タイムカードからExcelへ手作業にて転記・入力するため、人為的ミスが発生する可能性があります。勤務実績表は給与計算のために必要となる大切な書類であり、少しのミスでも重大な問題に発展する可能性があります。

ブラックボックス化してしまう可能性があるのもExcelのデメリットです。自社に合うように、担当者が使いやすいようにテンプレートをカスタマイズしている場合、担当者が退職してしまうと使用し続けるのが困難になります。使い方はもちろん再度カスタマイズするのも難しいため、一からExcelにてテンプレートを作り直す手間がかかることでしょう。

このように、Excelによる勤務実績表の管理作成はデメリットが多く、おすすめできません。

勤怠管理システムを使う

勤怠管理システムを利用すれば、勤務実績表はとても簡単に作成できます。

勤怠管理システムはスタッフの勤務開始・終了を計測し、それを基に勤務実績表が自動で作成されます。つまり、Excelのように手作業によってデータの転記・入力をする必要がないのです。そのため、人為的ミスの発生が起こりにくく、より正確な勤務実績表を作成することができます。もちろん、業務が効率化されることで内勤スタッフの人件費は大幅にカット可能です。

また、スマートフォン等のモバイル端末を利用した勤怠管理システムならば、タイムカード等のアナログ打刻システムと比べて不正されにくい特徴があります。勤怠記録をつける本人を確実に確認できるため、タイムカードのように誰かが代わりに記録するといった心配はありません。特に警備業の場合、現場にタイムカードがなく、後日スタッフから自己申告してもらう、というケースも少なくありません。そうなると、勘違いや不正が起こりやすいですし、集計作業も難航します。モバイル端末を利用できれば、警備業の管理も楽に行えるはずです。

さらに、勤怠管理システムはスタッフの勤務時間や残業時間、休日出勤などをリアルタイムで把握できます。そのため、36協定に沿った形で勤務実績表を作成でき、コンプライアンス面でのリスクの排除が可能です。勤怠管理システムの中には、法改正に合わせてアップデートされるものが多く、状況に応じて柔軟な対応をできるのも魅力です。

このように、勤務実績表を作成するのであれば勤怠管理システムの導入がおすすめです。正確であり法律を遵守しやすいだけでなく、内勤スタッフの人件費を大幅カットできるなどのメリットがあるためです。

勤務実績表(勤怠管理表)の保管期間・義務はある?

前述でも触れましたが、勤務実績表には保管期間・義務があります。

労働基準法第109条によれば、「使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を五年間保存しなければならない」と定められています。勤務実績表は「労働関係に関する重要な書類」ですから、最低でも5年間の保管が義務付けられているのです。

今ではほとんどないかもしれませんが、紙の書類で保管している場合は大変です。5年分の書類ともなれば量も多くなりますから、それなりに広く厳重に保管できる場所を確保しなければならないためです。

Excelであればデータであるため物理的な保管場所は必要ありません。しかし、PC上での保管は流出やミスによる消失といったリスクがあります。また、5年分のExcelデータとなれば容量も重くなりやすく、シートの動作が不安定になる可能性もあるので注意が必要です。

そのようなことから、勤務実績表の保管にはクラウドタイプの勤怠管理システムがおすすめです。データはセキュリティに守られたクラウドサーバーに保管されるため、流出などのリスクはほぼありません。物理的な圧迫もありませんし、データ容量超過といった問題も解決します。

警備会社の勤怠管理なら

今回は勤務実績表とは何なのか、その作成方法や保管期間などについて解説しました。

勤務実績表は給与計算で必要となるものであり、法令遵守の観点からも正確に行われる必要があります。ご紹介したような内容を記載し、スムーズな給与計算を行いましょう。また、勤務実績表を作成するならExcelよりも勤怠管理システムの利用をおすすめします。

Excelは手軽ですが、警備業のように日々の人数や勤務場所・時間の変更が多い業界では作業が煩雑となるためおすすめできません。また、タイムカードが設置できない現場も多く、勤務時間を把握できず、勤務実績表の正確性を欠く可能性もあります。そのような理由から、警備業の勤怠管理は勤怠管理システムの導入がおすすめです。

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